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『ぼくはブルドーザー!』こぐま社

 11月20日のFM軽井沢「魔法使いの本棚」では、昨日の七福神と一緒に、この、『・・・ブルドーザー!』を紹介した。

 私たちが、つまり国際子ども文庫の会が、隔月(毎月だったのに、昨年から隔月になってしまった!誰かの陰謀に違いない)に月刊『海外子女教育』誌に4冊ずつ、子ども向けの良い本を紹介しているのだが、日本の季節や行事にあうように、紹介する本の季節感を大切に考えて、本を選んでいる。
 「子どもの本棚」という、たった1ページなのだが、沢山出版される子どもの本の中から、あるいは古くから愛読されている歴史的な名著の中から、たった4冊を選ぶのはムズイ!
この本も、この本も、という中から、少なくとも今年のこの季節には紹介できない本を、切り捨てていくのは、時には辛い作業でもある。雑誌一冊、全部子どもの本シリーズにしてくれたとしても、海外にいる子どもやその親達に、伝えたいことは語りきれず、紹介したい本も山ほどある。

 この『ぼくはブルドーザー!』も、季節なら4月ごろ、幼稚園に入ったり、学校のクラスが変わったりして、まだ心の許せる友達の出来ない季節に、『海外子女教育』誌で紹介したい本である。
 海外の子どもに本を紹介するとき、一番心を配るのは「正しい日本語で書かれているか」という点で、難しいを「ムズイ」などと書いている本は、即、切り捨てる。国内で、日本人家族の中で読む分には、「チョー」面白くても、「たべれない」お菓子の話でも、他にたくさんの本を読んでいるなら一向に構わない、と、私は思っている。それは、悪い日本語、という毒が、良い本という蒸留水で薄められるからである。何でもいいから、沢山本を読んでもらいたい、と思う。
 しかし、海外では、その本が、例えば戦争に関するただ一冊の本になってしまうかもしれない。その子にとって、その本が戦争における日本の姿を語るすべてになってしまう。
だから、私たちが『海外子女教育』に本を選ぶとき、その一冊が、ただ一冊になってもよい本しか、選ばない。

 そこでこの『・・・ブルドーザー!』だが、コンセプトが良い。男の子が、いろいろな「働く車」になって、お砂場にお城を作る。ショベルカーも、クレーン車も、たしかに人間の動きが基になっている、と納得できる。ザクザク、ゴロゴロ、といった擬音(オノマトペ)が多く使われているのも、海外の子どもには助けになる。外国語の擬音では、日本に帰ったときに戸惑うからである。

 そんな理屈も、最後におとうさんが現れるあたりから、どうでもよくなる。お父さんがリフト車になって、男の子をぐいと持ち上げ、ガシャンと肩車にはめ込んで連れて帰るからである。この最後の数ページで、読んでもらっている子ども達は、幸せ一杯な気持になるに違いないから。


ぼくはブルドーザー!

(ASIN: 4772102043)
三浦 太郎  
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