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『竹取物語』石井睦美編訳 平澤朋子絵 偕成社

 この本はずっと気になっていたのだが、本の作りが小学生向きになっているのが気に入らなくて、ざっと読んだだけで積んであった。ところが『かぐやひめ』が、なぜかよく話題に上って、粗筋しか覚えていないのが気になって、もう一度、この本を手に取った。表紙の色どりとピンクの帯が垢ぬけないのだが、改めて開いてみると内容は悪くない。このややこしい昔話が、分かり易い現代語に書き直してある。元の古典が優しい文章で書かれているのだから、欲を言えば、もう少し美文調の現代語で書いてもらえると嬉しかったのだが、とにかくとても分かり易い。

 目次の次のページに、この物語の9人の主役が、イラスト入りで紹介されているのが有難い。何しろ、5人の求婚者のどれが誰だか、絵本などだと、読み終わった途端に忘れてしまう。その5人が5つの章に分けて書かれているので、すっと頭に入る。そして6番目の帝の存在が、そうか、それで大切な方だったんだ、と、今更納得した。勿論古文でも読んだのだが、こんなに和歌のやり取りがあったとは気づかなかった・・・(-_-;)
 翁が竹を切って姫を見つけ、大切に育み、大きくなると男どもが寄って来て、と筋を追ってゆく中で、かぐや姫はたった3ヶ月で髪の長い、美しい女性に成人してしまった、などということ・・・・も知らなかったなあ。
そして噂が帝に届き、まではあまり驚かなかったが、考えてみれば、絵本でも昔話でも、帝との恋なんて、あまり関係なく書かれていて、なんとなく権力をかさに着て横暴な、という印象だったから、最後になっておじいさんが、月の軍勢が来るからと、振った相手なのに帝に助けを求めるのが腑に落ちなかった。平民が帝を振るなんてありえないことをしておいて、助けを求めるなんて、と、お爺さんをちょっと軽蔑したくらいだ。なるほど元の話はそうだったのかと、色々納得した。

 しかし、圧巻?は解説で、かぐや姫の罪と罰について語っている!たしかに、丁寧な絵本では、かぐや姫が天上で罪を犯して地上に送られたと書かれたものもあって、そのころは古典を読んで間もなかったのか納得したのだが、いつの間にか忘れていた。皆覚えているのだろうか?
 かぐや姫は愛さなかった罪で地上に降ろされたので、帝との恋によって愛することを知ったから罪を許され、天上に呼び戻された。
そんなひどい事ってある?愛する人ができたから罪を許され、愛する人との間を引き裂かれ、天上に帰らなければならないなんて。

最後に古典の文章が半ページくらい載っていて、どうしても読まなくては、という気持ちにさせられる。