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『くいしんぼうの おつきさま』なかたみちよ作 文研出版

 もう10日も前のことになるが、令和元年8月15日の満月は、ひときわ美しかった。もっさりと木に覆われて、この間もお隣のご主人に「鬱陶しくないの?」と聞かれてしまったほど薄暗い庭だが、庭の真ん中に立って空を見上げると、ちょうど満月の大きさにぽっかりと空が見えて、満月の夜は、お月様がすっぽりと黒い木の枝の隙間に、はまって見える。

 そんな夜、うづ高く積まれた書類の間から、この黒い表紙に黄色い満月の絵本が顔を出した。見ると昨年の8月に出版されている。この椅子に坐って、窓越しに月を見ながらこの本を読んで、「来年の『海外子女教育』の8月号の子どもの本棚で紹介しよう」と思って書類の間に挟み込んで、例によってそのまま、忘れてしまったのだ。

 さて、この絵本、ちょっと楽しい。三日月になったお月様はお腹が空いて、夜になっても空にのぼらない。「ほしぞらレストラン」のコックさんが心配して聞くと、お腹が空いて元気が出ないから、バナナを1本下さいという。毎晩1本ずつバナナを食べて、少しずつ太りながら空に昇るが、やはりお腹が空いて降りてきてしまう。そこでコックさんは、グレープフルーツを持ってくる。お月様は喜んで食べると、グレープフルーツの形になって空に浮かび、それでもお腹が空いてオムライスを食べるようになり・・・と満月に近づいてくる。それがどうしてまた三日月になるかは読んでみて頂きたいが、あるいは9月1日のFM軽井沢、11:15からの「魔法使いの本棚」では、もう少し先までストーリーをお話するかも、しれないから、パソコンのFM軽井沢で聞いてほしいが、お月さまの物語は、兎角しんみりしがちなのに、その筋立ても奇想天外・・・ってほどでもないか、でも絵がまた素直に明るくて、ちょっとアニメチックでアンクル・トリスみたいなコックさんもキャワイい。最後に月の満ち欠けの説明もあるから、教育ママに虐められている可哀想な子どもにプレゼントして、ひとときの安らぎを与える口実にもなる。

 8月15日というと『8月15日の茶屋』という京マチ子の舞台を思い出す。まだ幼い頃に見たらしくて、筋書きも覚えていないのだが、やたらに明るい照明の中に、凝った舞台装置で、貴船辺りの川床の設定だろうか、朱塗りの低い手摺の縁側に、すらりと立った京マチ子の美しさが、今でも脳裏に焼き付いている。清冽な色気、とでもいうのだろうか、肌を見せれば色気になると思っている近頃の若い人に見せてあげたい。ああいう人がいなくなったから、こういう世の中になったんだろうな。顔やスタイルの美しい人は沢山いるが、立居振舞というか、人柄というか、美しい女性がいなくなったのが寂しい。