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『そらから かいじゅうが ふってきた』中川洋典作 文研出版

 授業中に窓から外を見ていて、「よそみをしない!」と先生に怒られたその時、空から怪獣が降ってくる。先生はさっさと逃げ出し、校長も教頭も逃げてゆく。ところが、グラウンドにやってきた怪獣は、足にとげが刺さって大弱り。みんなで力を合わせて棘をぬいてやる。やっとのことで棘が抜けたのに、お礼も言わずに怪獣が去ってゆくので、ボクは頭に来て「ひとに しんせつにしてもらったら なんていうんだ?」と叫んでしまう。そこで怪獣はちゃんと謝って、後片付けをして帰ってゆく。翌日、先生は「しっかり べんきょうしないと りっぱなおとなに なれないぞ」なんぞというが、そこでボクは「あ、かいじゅうが そらから ふってきた」という。おわり。

 という筋なのだが、先生が生徒を置いてにげるわけがない、と思っている世代は、古いのだろうか。怪獣が空から降って来るより、よほどあり得ないと思えるのは、幸せな世代なのだろうか。
 その件はともかく、絵はインパクトがあるし、怪獣が空から降ってくる、という事件が面白い。しかも、暴れる暇もなく棘を刺して、しおしおと去ってゆく怪獣が可愛い。
 授業中、先生の声を子守歌のように聞きながら、居眠りをしているのと同じ脳波で、ぼんやり校庭を眺めている気分は最高だ。雨が降っていたりすると、映画のシーンに入り込んだ気分で鼻歌でも歌いかねない。そんなところに怪獣が降ってくるのだから、やめられない。町の方から歩いてきて、校門に襲い掛かる等という平凡な設定ではない。今は亡き長新太さんの絵本を思い出す。