『メルヘンビルダー』ハンス・フィッシャー絵 こぐま社

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 あ、すごい! 本文がかけるようになりました。
この本は、FM軽井沢の宮尾さんに「クリスマスに相応しい本を選んでおいてくださいね」といわれて、久しぶりに本屋さんで選んだ絵本です。
 今年の本屋さんは、あまり「クリスマス」に重点をおいてなくて、目新しい本がなかったので「クリスマスプレゼントにふさわしい本」をえらんでしまいました。大きくて表紙の絵もシックで、恋人にプレゼントするのにぴったり。貴方の心も一緒に贈れます、って言っても愛の物語ではありません。

 サブタイトルに「フィシャーが描いたグリム昔話」とあるように、内容はグリムの童話が9つですが、『こねこのぴっち』(岩波書店)で日本の子どもにもお馴染みのフィッシャーの絵が楽しめます。訳は、佐々梨代子。「一枚絵」という分野なのだそうで、A4版の片面いっぱいに、ペン画風のさりげない色刷りで、ひとつの物語の主な場面がすべて描かれているわけです。

 例えば「赤ずきん」の絵は左上に小さく、赤ずきんに届けものを頼んでいるお母さん、少し下の木の間に狼に出会った赤ずきん、下の方に画かれているおばあさんの家でベッドに入っている狼、猟師に助けられてお茶のテーブルを囲むおばあさんと赤ずきん、右下にお腹に石を詰められてヨロヨロ歩く狼、といった具合です。

 字の読めない子どもでも、このたった一枚の絵から、物語を読み取ることができます。もちろんその前に、大人の人が読んであげてください。でも、読まなくても、この本を見つけた子どもは、ひとりでその子どもなりの物語を頭の中でつくりながらページを繰ることでしょう。こどもの想像力や創造力は、こうして育てられるのです。