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2012年1月

2012年1月 2日

お正月の読物

 あけまして おめでとうございます。昨年は怠けがちで、ひと月に1回くらいしか更新できませんでした。今年は心を入れ替えて、毎週、せめてFM軽井沢で紹介した本は、必ずブログに載せるようにしたいと思います。・・・勿論そればかりでなく。

 今年は元旦が日曜日でしたので、ちゃんと、軽井沢駅さわやかハットの2階にあるFM軽井沢に参りました。
 絵本を一冊と、文庫本を4冊抱えていったのですが、なんと途中で地震があり、文庫本が3冊しか、紹介できませんでした。

 まず絵本はこぎつねダイダイのシリーズから『ゆきゆき どんどん』西内ミナミ作、和歌山静子絵 ポプラ社。珍しく作者に連絡が取れて、西内・和歌山コンビの他の作品も紹介しつつ、ミナミさんの文章も読みながら、と張り切ったのですが、お正月は土曜、日曜のレギュラーから年頭のメッセージを、ということで、あまり時間が取れませんでした。
 せせらぎ文庫の本棚から、お正月休みに相応しい一冊を選んだのですが、お兄さん狐のダイダイが妹と遊びたくなかったけれど、嫌々一緒にそりに乗っているうちに妹が迷子になり、ようやく見つかって、雪の中をおんぶして歩きながら、「ほんとうによかった」と思う、という物語。和歌山さんの描く子狐のオレンジ色が暖かくて、コタツにあたりながら、子どもたちに読んでやりたい絵本。

 文庫本は『日本ジジババ列伝』清水義範著 中公文庫 おじいさんの思いがさりげなく描かれていて、高齢者も、中高年も、穏やかな気持で読める。

 『一豊の妻』永井路子著 文春文庫。歴史の教科書とは違った一豊の妻が描かれていて面白い。他に正綱の妻、お江、など6つの物語が連なっている。

 『散りぎわの花』小沢昭一著 文春文庫。役者であり、「変哲」という俳号をもつ著者が、主に俳句に添えて書いている。親友である江国滋への思いもしみじみと語られているが、「夕立や 小言もにぎる江戸かたぎ」となじみの寿司やを詠んだ句のエピソードも、彼らしい軽妙な語り口で綴られている。

 地震のおかげで紹介できなかったのは、池部良の書いた『風がふいたら』。山本夏彦が解説に書いているとおり「少々エロチックではある」が、あの飄々とした池部良がかいていると、そんな感じもなく、さらっと楽しく読める。

 以上5冊、お正月休みに相応しい読物が、せせらぎ文庫には沢山あります、というご紹介でした。
 毎週土曜日の11時から14時まで、なるべく私がおりますので、お気軽に遊びに来てください。今年は、大人の方達に、沢山読んで頂きたいと思っていますので、よろしく。

2012年1月 9日

渡辺茂男先生

 昨日のFM軽井沢では、渡辺茂男訳『山の上の火ーエチオピアの昔話』ジーシー・プレス を紹介した。
 アジス・アベバにすむアルハという奴隷が、ハプトムという主人に、火も、毛布もなく、一晩、裸で寒い山の上に立てば土地と家と牛とヤギをやる、といわれて村の古老に相談し、古老が一晩中、向かい側の山の上で焚く火を見つめて寒さに耐え抜く。ところが主人は火を見ていて耐えたのだから、お前は火を使った。約束を破ったのだから、褒美はやらない、と取り消した。そこで古老は、再び一計を案じ・・、という物語の絵本。

 勿論、佐野昌子のおおらかな絵も含めて、この絵本の魅力も語りたかったし、遠い山の上の火を見つめているだけで、そこで自分のために火を焚いてくれている人がいるという思いだけで、寒さを耐え抜くことが出来たというこの物語の第一のテーマについても語りたかったが、私がこの本を取り上げた本当のきっかけは、数年前に亡くなられた渡辺茂男先生の思い出を語りたかったからだと思う。

 1977年に初の国際児童文庫であるだんだん文庫を設立し、1979年に国際児童文庫協会を創設して、たった一年で、発案者でありパートナーだったミセス・ダンがモロッコに去ってしまったとき、福音館の松居会長、当時文部大臣だった永井道夫先生と共に、名実ともに支えになってくださったのが、渡辺先生だった。この先生方の教えがなかったら、国際児童文庫協会を軌道に乗せることは出来なかった。

 それまで、ただ一冊の本として、次々と良い本を紹介し、その中に渡辺先生の作品が沢山含まれていることに気付いてはいたのだが、しみじみと先生の翻訳、先生の絵本の素晴らしさに本当に気付いたのは、亡くなられて、懐かしさでその作品を、落ち着いて読み返せるようになってから、つまり、つい最近なのかもしれない。

 沢山の本の中から良い本を選び出すのは、そんなに難しいことではないが、心に感じたその本の良さを、的確にことばに表すのは、とても難しい。
 本を読む子ども達、子どものために本を選ぶ大人達の心に響くように、これからも、ことばを選んで、学びつつ、ライフワークを続けてゆきたい。

2012年1月30日

『もひとつ ま・く・ら』柳家小三治・『こども落語』燕路

 1月29日のFM軽井沢、「魔法使いの本棚」では、上記の落語の本を紹介した。
『もひとつ ま・く・ら』は勿論『ま・く・ら』の続編。講談社文庫だが、これは単行本の文庫化ではなく、文庫オリジナル、というところが文庫本ファンには、また嬉しい。
 落語の本、といっても『ま・く・ら』の2冊は、「まくらの小三治」と異名をとる小三治の、あちこちの会での枕(枕は、落語に入る前に演者がつなぎに語る由なし事です・・・念のため)を集めたもの。「こういう話がしたいから来ているんで、べつに落語がやりたいわけじゃあない。そうでもないか」などと本人も言っているが、ときには枕が長すぎて本題の落語が消えてしまうらしい、等と巷の噂もあるほど。
 言われるだけあって、読物として面白い。どうやって、なんと言う落語につなげるつもりなのだろうと想像しながら読むのも楽しいが、ご本人は落語に関係なく?言いたいことを言っているかに見える。子どもの教育の話に我が母校の名前が出てきてニヤリとしたが、語学の話、人生の歩み方など、納得できる固い話、普段、気恥ずかしくて、周囲の人には話せないまじめすぎる話を、粋な語り口で話しているのが、文字になっていて嬉しい。読み終わって胸がすっとする。

 その小三治が、落語界に入るにあたって、弟子入りの世話になったのが燕路さんだと書いてあって、驚いた。驚ろくにはあたらないのだろうが、この燕路さんは、せせらぎ文庫フェスタで、さんざんお世話になっている瀬名恵子さんのご主人。早くに亡くなったのですが、良い方だったのだなあ、と、故人をしのびました。

 故人といえば、昨1月29日は大学3年で亡くなった親友の命日。軽井沢の雪の中で、今年も墓参に行かれなかった、と偲んでいました。
 高校卒業の寸前から、急に親しくなった4人組で、デカ、ペチャ、ポンという3人の男の子と、タンコという女の子の4人組。ペチャも同じ年に亡くなったのですが、2人がいなくなるまでの数年間、みんな、世界一幸せな青春を過ごしました。
 高校では、クラスにデカペチャポンを囲んで7人の侍がいたので合あわせて10人、女子はもともと14人しかいないので、全員が纏まっていて(2,3人遊ばない人もいたけど)10人は我が家に泊まりにきたりしていました。
幸いデカペチャポンもタンコもあちこちに友達が多く、早稲田、学習院、慶応、トン女と4人とも違う大学だったので、各々の学校で4,5人ずつの仲良しと10人くらいのグループがいて、声をかけると、すぐに50人のパーティが成立します。歌ったり、踊ったり、夜を徹して喋ったり、映画を作ったり・・・。軽井沢でも、偶然、ペチャも私も千ヶ滝で歩いて5分ほどのところに家があったので(ウチは貸別荘でしたが)、各々の家に分かれて泊まり、どちらかの家に持ち寄って食事をしたり、本当に健全で、精神的にも充実した青春でした。
 その輪の中心に居た2人が続いて病気で亡くなったので、私たちの高校のクラスは、今でも仲が良すぎるほど良くて、クラス会が続いています。

 ああ、本の話でした。燕路さんの『子ども落語』はポプラ社から大型の文庫本?で4巻まで出ているのですが、子ども向きにたくさんの噺が紹介されていて、とても良い本なので、改めてご紹介します。


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