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2020年9月

2020年9月 2日

『あるかしら書店』について、の続き

 上の血圧が190というのは、割に慣れているというか、あまり驚かないのだが、下が110というのが続いて、ちょっと慌てた。東京医大の先生に言われていたのを思い出して、アジルバ、という薬を、10㎜多く飲むことにした。31日は夜飲まないはずのところを10㎜、9月1日は朝30㎜のところを40㎜、夜更に10㎜だから1日では20㎜多く飲んだ事になる。9月2日、つまり今日は朝測ったら上が150台、下が80台だったが用心のため40㎜のみ、夜23時に計ったら130台だったので、もうアジルバを増やすのはやめにした。まだ、胸が少し痛いが、明日と明後日、外出せずに休むので、大丈夫だと思う。でも、昨日、知らない方から電話があり「今日はお店は開かないのですか。何回来ても締まっているから」と言われてしまった。申し訳ないと思いつつ、ちょっと嬉しい。血圧が落ち着いたら、「魔女の蚤の市」も頑張ります。

 さて、この本は、漫画と書いたが漫画とうよりも全部イラストで説明されている。あ、説明されているのではなくて、絵で語られている。だから小学生でもわかるだろうけれど、大人が理解するのを作者の意図の98%とすれば、子どもが面白さを理解するのは60%以下だろう。大人の洒落のきいた内容なので。

 先ず、目次より前に、「この本(店)は『本にまつわる本』の専門店、とあり、「〇〇についての本ってあるかしら?」ときくと、たいてい「ありますよ」と言って、奥から出してきてくれる、と説明している。
目次は書棚の絵で、様々な色と形の背表紙が、7つに分類して置いてある。『作家の木の育て方』『カリスマ書店員養成所の1日』『大ヒットしてほしかった本』等々。

 中でも『本とのお別れ請負人』は身につまされる。本に囲まれた男を髭の老人が訪れ、貴方は素晴らしい本をお持ちだが、このままでは傷んでしまうと言い、この本を選んだあなたのセンスを本棚ごと、最高の環境で保管したいと口説き落とす。奥さんは何やらレシートを受取り、「持主の心のケアーを第一に、ハートフル古書流通」と書かれたバンを件の髭の老人が運転して去る、という見開き1ページの漫画になっている。

 カバーの両側の羽で、『バタ足入門の本』は、子どもが本を閉じると水泳板になっていて、プールの中でバタ足の練習を始める、というのと、『ちょっと大きくなれる本』は、小さい子が、その本を椅子の上に載せて、その上に坐ると、ちょっと座高が高くなって、テーブルで食事を始める、という2冊が、わずか6コマの絵で語られている。

 ペン画ににちょこちょこッと色が付いているので、何やら楽しく、あっという間に読んでしまって、もう一度ページを繰ってみたくなる、新しいタイプの本。
                                                               

『ふしぎな500のぼうし』ドクター・スース作 わたなべしげお訳 偕成社

 ダーウィン王が治めるデイッド王国に住んでいるバーソロミュー・カビンズという男の子は、おじいさんがかぶり、お父さんが被った古い赤い帽子を1つだけ持っていて、1本だけ羽がピンと突っ立っているその帽子が大好きだったので、その日も、その帽子を被って町までツルコケモモを売りに行った。すると通り過ぎた王様の馬車が戻ってきて帽子をとれ!と怒鳴られる。バーソロミューはもうとっくに帽子は脱いでいるのに、と思うのだが手にも帽子を持っているのに、頭の上にもある。両手に帽子を持っても、まだひとつ頭の上にある。ダーウィン王はカンカンになって、バーソロミューをお城に引っ立てィということになる。ところが隊長の馬に乗せられて走る間にも、帽子はどんどん風に飛ばされ、次々頭の上に現れる。王様に出会ってから、王様の前でもう1度帽子を脱いで、次々と周りに転がった帽子を数えると135個になった。王様は帽子屋を呼んで脱がすように命じるが、また生えてきて、三代の博士を呼んでも役に立たない。王様の甥のウィルフレッドという悪い子が、弓の練習に帽子を射落とそうとするが落とされた帽子が154に増えただけ。とうとう首を切られることになって、バーソロミューは帽子を自分で脱ぎながら地下牢への石段を下りるが、首切り役人は、王様の作った規則で、帽子を脱いだ人の首しか切れない、という。
 せっかく助かるかと思ったのに、甥っ子のウィルフレッドは高い塔の上から突き落とせば良いと提案して、塔の上に連れてゆく。バーソロミューは347個から、また数えながら塔の石段を上ってゆくが、451番目から帽子の羽が増え始め、ウィルフレッドがまさに突き落とそうとしたとき、500番目の見事なダチョウの羽の帽子が現れ、王様は500枚の金貨で、その帽子を買い取る、という話。・・・簡単に言うとね。これでも。

 絵本というより、イラストの多い読物と言いたい文章量なのだが、渡辺茂男の訳で、するすると読めてしまう。子ども達に人気のあるドクター・スースの絵は、帽子の赤だけに色がついて、次々と生まれてくる赤い帽子が楽しい。50年以上も子ども達に愛されているドクター・スースの絵本は、どの1冊をとっても、物語に類似性がない。すぐにシリーズ化してしまう日本の絵本作家は、作家自身が悪いのか、出版社が悪いのか・・・・。

2020年9月 9日

『明日はいずこの空の下』上橋菜穂子著 講談社文庫

 上橋菜穂子といえば『精霊の守り人』シリーズをはじめ、日本の少年少女にとっての『指輪物語』のような大河ドラマの作者で、いつの間にか現れ、次々と、大人も夢中になれる作品を書いてくれた偉大な作家だ。なので、敬遠でもないが、きっと話しかけても適当にスルーされるタイプだと思いこんでしまっていた。だから、昨年だったか?コロナの所為で月日の感覚がなくなってしまったが、国際アンデルセン賞受賞の後、JBBYの何とか賞も受けられて、その集まりに参加したので、当然お見かけしたが、それまでお話したこともなかったので、お祝いのご挨拶もせず失礼してしまった。
 この本を読んで、あ、しまったことをした、と後悔した。お見かけしたところ、とても親しみやすいタイプの女性で、親しいご近所というタイプだったので、自分の思い描いていた上橋菜穂子とは、全然違っていて、かえって、なんとなく、近寄れなかったのだ。 絵本も含めて、児童文学の作者は人が良い。誰かに親切にしたくてたまらない人達の集まりである。だからJBBYの会合に出たら、なるべく有名な作者に声を掛けたほうが良い。あまり書けない作者より、良い作品を書いている作者の方が、間違いなく優しい。
 閑話休題。その、上橋菜穂子のエッセーというのは読んだことがなかったので、『明日はいずこの空の下』という題名にも惹かれて、ページを開いた。外国旅行の話が中心だが、その土地土地の著名な物語を中心に語られるので、知らない旅行話ではなくて、よく知っている街を一緒に旅をしている気分になる。読み進むと、殆どが、影響を強く受けて育ったお母様との旅行であったことがわかる。本の終りに近づくと、お母様が今もお元気だろうかと気になって、発行年月日を確かめてみた。確かめるまでもなく、最後まで読むと、癌と闘いながら、明るく二人旅を楽しまれたお母様が寿命を全うされたことも書いてあった。とても親しい友人の、旅の話を聞いているようなエッセーだった。またいつか、JBBYの会で、お目にかかることがあるだろうか。本をたくさん読んでいる人なら、きっと誰でも、著者と話をしたくなる、エッセー集である。
 

2020年9月13日

『まぼろしのおはなし』ワールド ライブラリィ刊

 作家ハイメ・ガンボアも絵ウェン・シュウ・チェンも、コスタリカ出身で、チェン氏は建築家であるという。なるほど、と思った。表紙も中表紙も、白い厚紙で作った建築物の内側の様。お話が始まっても、図書館の中に何人かの子ども達も真っ白。 そこにファンタジックな虹色の鳥や子どもの姿が、ところどころに飛んでいる。主人公は、図書館にいるのに、誰も読んでくれない、気の弱い本。ところがある日、一冊一冊指で触れながら探している女の子に出会う。実はこの本は、点字の本だったのだ。