『いやだ いやだの絵本』せなけいこ 作・絵 福音館書店

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 「にんじん」「もじゃもじゃ」「いやだ いやだ」「ねないこ だれだ」の4冊が、ひとつのケースに入っている。どのお話も読み聞かせにぴったりで、どのお話も、子ども達に好かれている。せなけいこ作品の特徴は「きり絵」であるということ。そのぬくもりのある色とタッチには定評があり、和紙をちぎって貼り付ける味わいは、他のイラストレーターには見られない。
 絵と文を同一作家が担当すると、とかく文章がなおざりにされがちだが、せなけいこは語彙も豊富でストーリーも変化に富み、海外で日本語に触れる機会の少ない子ども達にも、正しい日本語の本として、安心してすすめられる。
 
 せなけいこさんとの出会いは、もう20年以上も昔のことだが「小林悠紀子さんです」と紹介され「ああ、そうですか」と昔の天皇陛下のようなひとことを賜っただけだったので、冷たい人かと思ったら、さにあらず、非常にシャイだというだけで、IBBYのケンブリッジ大会以来、多分?、とても仲良くさせていただいている。良い意味で、芸術家らしい、素敵な女性である。