コンセプト

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せせらぎ文庫のコンセプト「三世代が共に読書できる空間」について考え始めたのは20年前、1989年6月国際児童文庫協会(ICBA)の10周年のパネルディスカッションンからだった。
創設以来代表としてICBAを引っ張ってきたのだが、10周年をきっかけに代表を退き、副会長として後見役を引き受け現在に至る。通算30余年、文庫を通して、子どもの読書の実体を見てきたことになる。

しかし、10周年記念行事のテーマ「子ども達を本の世界に連れ戻すには」に対して各国から招いたパネリスト達が導き出してくれた答え「それには、大人が先ず、本を読むことだ」という当たり前の答えが、ずっと心に引っかかっていた。

大人が読んでいる姿を子どもに見せる。もちろんやらせでなく、面白がっている姿を見せる。それでこそ子どもは「本」に興味を持つのだから・・・と、機会があるたびに言い続けてきた。良い本があっても、読書そのものに子どもが興味を抱かなければ、子どもは本を読まない。馬は水を飲まない。

しかし、この時間的にも精神的にも、親子がすれ違う世の中で、家庭内でそれを実行するのは難しい。そこに飛び込んできたのが、軽井沢西区公民館新設の話だった。図書室はあるけれど、本を買う予算はない、という。「本揃えを任せていただけませんか?」といわば押しかけ女房のようにお願いしてみた。我が家の本棚から必要と思われる本を寄贈し、どうしても手放せない本は新しく設立した「国際子ども文庫の会」の予算で買い入れ、絵本作家や出版社に、良い本だけの寄贈をお願いして、現在、2000冊あまりが、狭い棚にひしめいている。この本棚も、西区区長の荒木さんに無理をいって西区の予算から増設して頂いたものだ。

3歳から90歳まで、誰が来ても一冊くらいは読みたい本があるように。理系の人にも、文系の人にも、
じっくり読みたい人にも、軽く読み飛ばしたい人にも。
そして何よりも子ども達は、幼児絵本の棚から読み物へ、文庫本のSFから小説へ。純文学から恋愛小説や推理小説へ、と大人の読み物への階段を登っていくように、今、試行錯誤で、何回も本を並べ替えている。

早く、シーズンオフでも子ども達が集まって、中学生、高校生が、どんどん本を借りてくれるようになると嬉しい!