ヘンデルのハレルヤを聞きながら・・・

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 FM軽井沢を流していると、ときおり、たまらなく懐かしい曲が流れて、思わず手を止めてしまう。ヘンデルのメサイヤの中のハレルヤコーラスは、歌ったことのある人とない人では、感動の度合いが違うのではないだろうか。King of Kings and Lord of Lords と歌うとき、上がってゆく音階の高まりと、声の幅とが相まって、合唱団の中で周囲の歌声に包まれて聞いていると、黄金の祭壇に向かって重厚な衣装を身にまとい、真紅のカーペットの上を歩み登ってゆくような思いがする。もうずっと昔のことなのに、この曲を聞くと・・・・血圧が上がってきますね。

 というわけで?今日は午前中、11時からFM軽井沢にお邪魔しました。(今度は「天には栄え」だって・・・また手が止まってしまう!)

 紹介したのは『ミッケ!』シリーズの4「サンタクロース」(ウォルター・ウィック作 糸井重里訳 小学館)。ヨーロッパの子どものゲームで「I spy with my little eyes something beginning with M」(ぼくの見えるもので、Mの字で始まるものなあんだ?)というのがあって、周りの子は部屋中を見回して、Mの字で始まるものを捜す、という遊びなのだが、この絵本は、その雰囲気をよく伝えている。原作はアメリカの写真絵本なので『Can You See What I See』となっているが。

 と、安心していると、この本は、持ったとたん、裏表紙からそのゲームが始まり、「表紙のミッケにチャレンジしよう!」と、あれをさがせ、これをさがせと書いてある。表紙の絵からはすぐ見つかるのだが、中味はそれほど簡単ではなく、大人にもなかなか見つからない。

 大人には、と書くほうが正しいのだろう。子どもはどんな絵本でもマンガの本でも、ページ一杯に目を光らせて、作者が書き込むイタズラをすぐに見つけ出す。我々大人も、子どもだった頃、手塚治虫のアトムの中に「ひょうたんつぎ」や「オムカエでゴンス」の書き込みを見つけて喜んだはず。

 子どもと大人が遊ぶ時、同じレベルでないと両方とも面白くない。大人が手加減したのでは、されている子どもは不愉快なもの。その点この絵本では、よほど集中しないと、大人は子どもに敵わない。

 クリスマス休暇でホッとするひと時、家族で、恋人同士で、普通の友達でもいいけど・・・、みんなで楽しむにも、ひとりぼっちの孤独を忘れるにも良い絵本。

 でも、お薦めするのはその点だけではない。表紙の見返しには英語で、裏表紙の見返しには日本語で、『クリスマスの前の晩』(The Night Before Christmas)が書かれていて、各ページの表題もそれに沿っている。この英詩は、欧米人には特に親しまれているし、暗証したくなる詩でもある。つまり、
この本1冊で3冊分の内容が含まれているのが、『ミッケ』シリーズの中で、この一冊を選んだ理由でもある。

 浅間山は真っ白。庭の雪は消えかけているけど、ホワイトクリスマスだといいな。