『にんげんごっこ』木村祐一作 長新太絵 講談社

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 多分先週、FM軽井沢で紹介したのだが(先々週かも)、オトナがこの題名を見ると、いろいろ内容を想像して、うーんと考えこんでしまうが、これは子どもの喜ぶ絵本。作者の木村祐一さんは名作『あらしのよるに』で、大人にも子どもにもよく知られているし、長新太さんも『おしゃべりなたまごやき』『キャベツくん』など、個性的な?絵本でおなじみだ。その二人が組んで「にんげんごっこ」ってなんだろう、と期待してページを繰ったら・・・

 森の近くの道を、バス、というものが走るようになって、動物達はバスのやってくる「人間の町」ってどんなところだろう、と考える。すると、人間と暮らしたこともある、というのが自慢の野良猫が色々説明を始めるが、らちがあかない。「そうだ!にんげんごっこをしよう」と言い出して始めた人間ごっこは・・・まずシマウマを横たわらせて横断歩道に見立て、みんなを渡らせ、キリンの首で踏切を作り、という具合。掃除機に使われたアリクイ、たわしにされたハリネズミ、みんな、痛かったりくたびれたり臭かったりで、人間の世界はこりごり。森の奥に逃げていった、というお話。12種類の動物が人間の生活の説明に使われるのだが、各々の発想がスゴーク個性的。こういう絵本を読んで育つと、発想の豊かな、創造的な、いわゆる天才児が育つ。