『あたまにかきのき』唯野元弘作 鈴木出版

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 「せせらぎ文庫フェスタ」の一日目に、この本を小林毅氏が読んだ。例年、読み手として参加している、お話ファゴットの杉山恵子さんが、都合で参加できないことが前々日に決まり、文庫フェスタから読み聞かせが消えては困るので、専門は演出家ではあるけれど演劇の研鑽を積んでいる毅氏に急遽依頼した。丁度ピーター・ゲスナー演出の『アンソニーとクレオパトラ』の演出助手として忙しい最中だったのだが、前日の夜中に軽井沢に着いて、昼過ぎに東京に帰る、というとんぼ返りで協力してくれた。

 日本民話の『あたまにかきのき』は、頭上に柿の種を落とされて、頭に柿の木が生えてしまった男の話。やがて実った柿の実を売って儲けたが、同業者に木を切られてしまい、その切株に生えたキノコを売ると、また同業者に恨まれて切株を掘り取られ、掘った穴に水がたまると泥鰌が住み着き、泥鰌を売って・・・と、途方もない話が続く。現実にどんな頭だろうと考えてしまうと、この話は成り立たないのだが、頭が池になったら、寝たとき水がこぼれる、とふと思ってしまったりすると、ああ、私も大人になってしまったと、がっかりする。とはいえ、そこは絵本のこと、村上豊の絵が、見事に昔話の世界に読者を引き戻してくれる。

 さて、せせらぎ文庫フェスタも、あとは8月1日(月)を残すばかりになった。
最終日は、渡辺万里氏のスペイン語の絵本の読み聞かせと、ビリー・ブラウンとその一座による"Hounted House"が、前の2日間と趣を変えてくれる。少し風邪気味だった、ポプコ・円谷氏も元気を取り戻し、どんぐりのクッキーなどで活躍の予定。ジニアス・円谷氏は3日間、6回の公演?を違うネタで、常連になった子ども達に目新しい実験をと張り切り、2日目の昨日は、静電気の実験で、体の丈夫そうな子どもと大人5人づつが手をつないで、一瞬体を通り抜ける静電気にギャッと叫んで、大喜びしていた。1日遅れて2日目から参加の滝本つみき氏のMCで、フェスタの変換もスムーズになり、刈田氏の愛弟子、ポプコ氏の折紙も引き続き好評で、折紙目当てで、昼休みだけ参加する子どもがあったりもしている。

 最終日、当日の参加も、もちろん大歓迎!はなそう会も、Kハウスのスペシャルカレーと、スペイン料理の差入れ!プレモルもアルコールフリーも、大人の皆様をお待ちしている。