『メルヘンビルダー』ハンスフィッシャー絵 こぐま社

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 ずいぶん長い間、ブログの更新ができなかった。昨年の暮、「今年こそ年賀状をクリスマスまでに出そう」と思い、9月10月は「今年こそ9月末に、せめて10月中に、せせらぎフェスタの決算報告を」と思い、決算書は未だに数字アレルギーの発作が出て仕上がらず、手も付けていない。そして年賀状も、例年の半分も出していない。
 年賀状を書かなかったのには事情がある。中軽井沢駅下にチャレンジショップという小さなスペースが5つあって、町が2年間無料で使わせてくれる。「大きくなったら本屋さんいなりたい」という幼い日の夢を、もう一つ実現したくて10月に応募したのだが、12月には決まると思ったのに年末に手紙が来て、1月15日のプレゼンテーションの結果で決める、貴女は6人に絞った候補のひとりだから空けておくように、という。病院の予定がとっくに決まっていたのに無理に予約を取り直し、足りなくなった血圧の薬を気にしながら15日のプレゼンを受けた。結果は2週間後というので、2月になってしまう。15日だって既に松が明けているが「本屋を開きます」と書きたくて、20日のお年玉年賀はがきの抽選迄にだせば、と思って待っていたのに。
 「残念でした!」という1月17日付の手紙は2月になって届いた。残念でした。出せなかった年賀状と、本屋を楽しみにしてくれている友人には、そのうち寒中見舞いを出すつもりだけれど・・・。

 『メルヘンビルダー』の話、お待たせしました。これはレアな本なので、手に入る方はなるべく早く買っておいた方がいい。これは、グリム童話のストーリー1話分が一枚に描かれている絵とその物語が、9つ含まれている。
例えば「ヘンゼルとグレーテル」なら、上の方に小さく、手をつないだヘンゼルとグレーテルが木こり夫妻の後から歩いているシーン、中央の大きなお菓子の家を訪れた二人、と同じ家の台所に囚われているヘンゼルと泣きながら働かされるグレーテル、絵の一番下、つまり一番手前には白い大きな鳥に乗って川を渡る二人が大きく描かれている。

 物語は他に、「うさぎとはりねずみ」「あかずきん」「長ぐつをはいた雄ねこ」「オオカミと七ひきの子やぎ」「しあわせハンス」「ならずもの」「七羽のからす」等。巻末に「一枚絵」の解説もある。

 フィッシャーの絵は、黒のペン画にところどころ色がついていて、一見すると森の絵のようだが、よくみるとメルヘンの主人公たちの様々な姿が見えてきて、上から下に、ストーリーが現れてくる。どれも良く知っているグリムの童話だが、勿論絵の後のページにかなり原作に沿った物語が添えてあるので、読み聞かせもできる。
その日の気分に合った物語の絵を開いて、部屋に飾っておきたい本である。