『オバケちゃんと はしるおばあさん』まつたにみよこ作 講談社

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 先週、13日のFM軽井沢では『オバケちゃんと はしるおばあさん』を紹介した。DJの宮尾さんに、地震の被災者が元気になるような、というリクエストがあって、良い本なら、読めばどれでも元気になるでしょう、と簡単に考えていたけれど、良い本ならどれでも、というのは、必要条件にも充分条件にも当てはまらないと気付いた。良い本の中には、読むことでそこのそこまで一緒に落ち込んで、そこから浮かび上がって元気や勇気を取戻すという本がたくさんある。
 今回の地震で、本当に最悪の現実の中にいる被災者の方達に、そんな本を薦めるわけには行かない。

 その点、この本は面白い。主人公がオバケだから、もともと明るすぎないのも?良い。そのオバケがびっくりするほど、この走るオバアサンは妖怪じみている。なにしろ自分お体を段ボール箱のように折畳んで箪笥と本棚の隙間に仕舞い込むことが出来る。おまけに走り出すと、高速道路で車を追い越す速さ!「百キロばあさん」と呼ばれている事も分かる・
 こういう荒唐無稽なおはなしは、人を元気にしてくれる。被災者のおばあさま方、百キロばあさんのように、お元気で!子ども達やお母様方も勿論お父様も。

 翌週の昨日は、『海潮音』からルコント・ド・リールの『象』を読んだ。群がる害虫を振り払い、砂を踏みしだいて、象の群が悠々と歩きわたる様子を描いている。文語体の長い詩だからカミカミだったけれど、考えてみたら18日に大きな歯を、歯茎を切って抜歯したばかりで、口が腫れていたのだった!
昨夜、氷で冷しながら、しまった、前もって言い訳しておくべきだった、と思ったけれど、もう遅いか!
朗読の松岡励子先生が、天国で「なんだよう!」と憤慨していらっしゃるに違いない。優等生だったのにね。

 久しぶりに開いた海潮音だったけれど、懐かしい詩が一杯。学生時代から2冊目だが、どちらもヨレヨレだ。
 昨年、部屋が積み上げた本で一杯になってしまったので、ベッドを処分して、体の大きさにあった木箱を作ってもらってその上に寝ている。○○桶のようだという人もいるが、お陰で寝台の周りを歩けるようになった。その特性寝台を作ってもらったときに、ついでに文庫本が100冊ずつ、2段に入る本棚を枕元に乗っけてもらって、その中に「座右の書」を詰め込んでいる。
 海潮音もその中にあるが、その多くが詩の本で、色々な国の、でも、残念ながら日本語ばかりだけれど、ロマンチックな系統がそろっている。

 来週は多分、東京からになるけれど、元気になれる、どんな本を選ぶのだろうか???