『富士山うたごよみ』俵万智 短歌・文 UGサトー絵 福音館書店

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 まず、U・Gサトーのイラストが楽しい。表紙は子ども部屋のカーテン生地で作ったような柄の富士山の、頂上部分がぺろっと剥がれて雪をかぶったようになっている。
中表紙の猫の顔が、富士山柄の白黒斑なのも面白い。

 1ページ目を開くと「立春」とある。四季の暦が春から始まるという、当たり前なのに新鮮な感覚。立春を知らない人のために、ちゃんと2月4日頃で、春の始まりという説明もあり、春一番のことも書いてある。
 俵万智の「立春」の短歌は「春一番の思いよ届け 青空はあなたに続く色の階段」とあって、短歌の解説も綴られている。
そして富士山の絵は、空に飛び立つように羽を広げた鳩が雪のように描かれ、青い富士が、青い空にそびえている。
俵万智のこの歌が大好き!

 今の時代に24節気を全部正しく言える人は少ないと思うが、雨水、啓蟄、春分、晴明、穀雨、立夏、小満、芒種、夏至、小暑、立秋、でやっと半分、次の処暑で暑さも終わり、立秋から秋が始まる。

 因みに「処暑」は冷たく冷えた缶ビール?の白い泡が雪のように泡立って流れ、頂上にはプルトップ。短歌は「幼子がビールの缶を抱きしめて ぷはっと笑う それは私か」とあって、「(前略、中略)どう思う?」と解説されている。

 なんだか、とっても豊かで、レベルの高い笑いのある楽しい本。