『ピンクー にじのでるばしょ』オルガ・デ・ディオス作・絵  ワールド・ライブラリー刊

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 2月17日に、右目だけ白内障の手術を受けた。簡単な手術で、誰でもすぐに、よく見えるようになると人に聞いていたので、先生に勧められて、というよりは、こちらからお願いするような感じで手術の日を決めてしまった。日が迫るにつれて、実際に手術を受けた友人から、実は大変だったと、いろいろなニュースが入ってきた。
 先生にも、「手術の翌日、検診に来ますか、それとも一日入院しますか?」と聞かれて「入院します!」と即答したのだが、翌日の受診のあとも、1週間ごとにひと月通院、とか、視力が定まるまで、1~3か月かかる等。手術の翌日からはっきり見えて、どんどん本が読める、ということではないらしい、と分かってきた。目玉にメスを入れるのだから、そのくらいは覚悟すべきだったのに!

 とにかく手術は無事に終わって、経過も良好なのだそうで、執刀して下さった井上先生も翌日の検診で「きれいにできています」と、一瞬、とても嬉しそうに仰ったし、一週間目の検診の先生も、「経過は良好です」と嬉しそうに言って下さったので、余程うまくいった手術であるらしい。現在、右目だけレンズを抜いた遠近両用の老眼鏡をかけている。右目だけレンズを抜くには、100均の老眼鏡を買ってくれば、昔のように力任せに押すだけでレンズが抜ける。この頃のメガネは、フレームがちゃんとネジで止めてあるし、しかもレンズがガラスではないので、金槌でたたいても割れない。(ちゃんとやってみたから確かだ)?白内障の手術の後は、当分100均の老眼鏡に限る。

 閑話休題。ピンクーは、ピンク色で、一つ目の、毛むくじゃらで、雪男みたいに大きな、でも、どこか可愛げのある怪物。ところが、周りのみんなは小さくて、ピンクーはにっこりしているのに、みんなは鳥のように嘴をとんがらかしている。ピンクーが住んでいたのは、何から何まで、真っ白な村。みんなは白いから、かくれんぼをすると、ピンクーだけはすぐ見つかってしまう。夜になるとみんなは小さな家に入って眠るけど、ピンクーは大きくて入れないから、家を抱っこして眠り、どこかほかの場所で暮らす夢を見る。

 そういえば、表紙をあけると、見返しの端っこにピンク色の字で「ピンクーみたいに感じたことのあるみんなへ」と書いてあった。これが、この絵本のテーマに違いない。

 夢を見たピンクーは旅に出て、お日様の輝くところに到着し、虹を見る。勿論ピンクーは、この自由な村で幸せに暮らす。
 昔住んでいたあの白い村は、彼にとって何だったのだろう。色とりどりの新しい友達と楽しく遊びながら、ピンクーは、嘴の尖った白い村の人達を思い出すのだろうか。
 子どもなら、楽しく遊んで、ピンクの大きな家で眠るピンクーを見て、一緒に喜んで終わるのだが、大人が読むと、むしろ、白い村の恐ろしさが気になる。

 私自身もピンクーの一族なのだろうが、はみ出している自分が、一向に気にならない。まわりもいつかはピンクになってくれるだろうと、安易に期待しながら、勝手に待っているようなところがある。困ったものだ。