『茶経』陸羽著 講談社教養文庫

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 訳と解説は「布目チョウフウ」。潮という字とフウはさんずいに風。残念ながらこのWindowsでは出てこない字で、漢字の作り方はわからないので、カタカナで我慢してください。なぜ最初から解説者か、というと、沢山出版されている『茶経』の中で、この布目氏の解説が、私には一番良くわかるし、この一冊は読む人の興味に応じて、2重3重に色々な読み方ができるように工夫されている。

 まず『茶経』そのものが一文ずつ書かれ、「訳文」が逐語訳で並べられ、次に「語釈」として、一つ一つの単語の意味と来歴が、丁寧に述べられている。
例えば、最初の行は「茶経上の巻、キョウ陵の陸羽撰す」とあるが、語釈では「キョウ陵は群名、県名」とあって、その場所の説明。「撰」については「書物を著作すること」とある。この説明がないと、私のような慌者は、「ああ、陸羽が選んだのね、つまり監修ってこと?」等と、勝手に思い込んでしまう。この語釈のお陰で、漢文といっても漢詩を返り点付きでも読めるかどうか、といった程度の私でも、少なくとも誤解せずに、読み進むことができる。
 
 「語釈」の後には「校異」とあって、更に細かい、そのことばの来歴などまで説明されているが、私の場合・・・・読み飛ばした。「語釈」の中には植物の名前も多く、それには一つずつ、図鑑の様な絵と写真があり、更にその図にも、出典などの細かい由来が書かれている。

 と、11月16日の茶英会の「Book of Tea」の発表の参考書として使って以来、少しずつまじめに読み返してみると、なるほど、やはりこの本はお茶のバイブルと呼ばれる価値がある。但し『茶経』そのものではなく、布目氏の訳と解釈があってのことである。20日はFM軽井沢で怖れ多くもこの『茶経』を紹介し、帰りにせせらぎ文庫に行ったので、心底くたびれた。一応ここまでで公開して、少しずつ書き加えてゆこうと思う。とても一度には書ききれないから。・・・とここまで28日に更新。