『うたうたう』『こねことこねこ』東君平さく・え Kあかつき刊

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 ひがしくんぺいさんは、IBBYの東京大会でボランティア委員長を拝命している時に参加して頂き、8月にその国際大会が終わって、12月に急性肺炎で亡くなってしまった。明るく優しい方で、お目にかかって短い間だったのに、忘れられない。「僕が遅れてきたのに笑顔で迎えてくれるなんて、優しい人なんだなあと思いました」と言われて、「優しい人」を演じないでいられない。みんなにその手を使って・・・いるわけではないのに、君平さんがいると、周りの人がみんな優しくなる。ことばの達人、とでもよびたい、大和ことばというのだろうか、常に、ひらがなだけで話しているのに、適切な表現だった。
 亡くなってから『ひとくち童話』を読んで、やたらに周りの人に薦めたくなった。全ての子どもと、その親に、読んでほしいとおもった。

 その君平さんの新しい本が2冊出版された。回文を集めた『こねことこねこ』と『うたうたう』前者はFM軽井沢でとりあげたので、『うたうたう』をとりあげた。見返しを開くと「はじめての さかさことばえほん」と副題がついている。このあたりにも、君平さんの、子どもへの心遣いが見える。
最初のページに、「さかさことば」の説明があって、「うえから よむと 『うた うたう』したからよんでも『うた うたう』という説明から、「ほらね はじまるよ」と、四季にわけた「さかさことば」が始まる。

 編集協力は、西内ミナミさんと本多慶子さん。そう、このお二人のお陰で、君平さんも、木村祐一さんも、せなけいこさんも、ボランティアとして参加して下さったのだった。あまり長いお付き合いだと、誰を誰に紹介してもらったのかも忘れて、みんな仲良し・・・気分になっている。
長く生きていると、良いことが、良い本との出会いが、いっぱいあるな、と思う今日この頃。

 『うたうたう』も『こねことこねこ』も、語彙の豊富な君平さんならではの絵本。絵も、勿論単純な黒白の(この絵本は色がついているけど)線と丸だけに見えるのに、子どもも動物達も表情豊か、何気ないのに、子どもが好きにならずにはいられない画風だと思う。

 今日は、なんだか真面目な絵本紹介!