『こぶたたんぽぽぽけっととんぼ』馬場のぼる作 こぐま社

  • 投稿日:
  • by

 同じ作者と出版社で、『ぶたたぬききつねねこ』というのがあるが、それはクリスマス用?で、最後の「まく」を開けると、たしかクリスマスツリーがあって、パーティが始まるんだったと思う。この本も、中表紙を開けると、見開きに豚と狸と狐と猫がいるが、4匹ともちょっとどん臭い。よくもコう、さりげなくあか抜けない母親世代を描けるものだと、妙なところで感心してしまった。
 しりとりはもう始まっているのだが、次の頁からストーリーが始まり、可愛い「こぶた」が「たんぽぽ」を見つけて、それを「ぽけっと」に飾る。次の頁で「とんぼ」が飛んでいるので、「ぼうし」を脱いで捕まえようとするが、飛んで行ってしまう。その飛んで行った青空に「しゃぼんだま」が流れて、しゃぼんだまを飛ばしているのが「まめだぬき」と、しりとりのことばでストーリーがつながってゆくが、きのこ、仔狐、ネックレス、スケートボード、どろんこ、仔猫、粉、涙、ダイヤモンド、どんぐり、リス、杉の木、キツツキ、恐竜、馬、マイク、車、マットレス、スカンク、靴、釣り竿、鬼、にわか雨、迷路、ロバ、バナナ、菜の花、縄跳び、ビデオ、鬼ごっこ、コアラ、ラジオ、おんぶで終わるが、子ども達は迎えに来たお母さん達におんぶされて、遊び疲れて背中でぐっすり眠っている。子ども達にとっても、お母さん達にとっても、理想的な一日がしりとりで語られている。
 ことば遊びには色々あるが、しりとりが一番単純で心配事なしに、子どもも大人も一緒に楽しめる。特に、子どもと年寄に語彙力をつけるのに良い。この本1冊読むだけでも45、50近い語彙が広がる。果物、文房具、など範囲を限って縛りを入れれば、いくらでも高度なゲームになるが、なにも範囲を決めず、自由に思いつくことばで遊んだ方が、心も頭も豊かに、健康になる。本は語彙を増やすために読むものではないが、本を読めば確実に語彙が多くなる。