『しりとり』

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 この本は、福音館書店からの新刊案内で見つけて、アマゾンで取り寄せてもらった(まだ自分では、取寄せたことがない・・・)。大体、本は目で見て、手を触れて選ぶものだと思っているから、どこの新刊案内でも、出版社からの案内で取り寄せたことなどないのだが、『海外子女教育』に、たまには新しく出版された本を紹介したかったのと、なぜか、この本は間違いない、と思ってしまったので、急いで購入した。
 初めは福音館書店の宣伝部?に、紹介文を書くから、ということで、着払いで送ってくれる様依頼したのだが、もう今の私を信じてくれる人が福音館にいなくなってしまったようで、本屋に行かれないならアマゾンで取り寄せるように、とひどい事を言われた。なんだか、ガックリしたが、本が届いたら、そんな事はどうでも良くなった。

 さすがに安野光雅!という本で、『海外子女教育』への第1稿に、「数学者の安野氏ならではの」と書いたら、ICBCのメインスタッフである吉沢さんと杉山さんから、早速「数学者」はいかがなものか、とメールが入った。調べてみると、数学者の藤原先生に可愛がられたという記録はあるが、彼自身は特に数学の専門教育を受けているわけではない。森毅と組んで、或いは安野氏だけで、勝れた数学絵本をたくさん書いているが、確かに数学者、とは言えないのかもしれない。(しかし、学者、という表現には、何らかの資格が必要だとは思えないのだが、編集に言われて修正するよりは、通常から、仲間内で校正しあってから編集にだしているので)と思い直して、「数学に明るい」に変更した。どうして数学に拘ったかというと、このしりとり絵本は、統計学が身についてないと、とてもできない構成になっていて、見開きにごとに15,6の絵が描かれていて、それを選んでしりとりを続けていくと、最後の頁は「ん」で終わる6つの品物に導かれて、終結する、という仕組みになっている。

 ところがここで、このパソコンにも入り込んでいるらしいサイコパス野郎の悪戯でうんざりして、あとは任せるから、このまま出して、と言いおいて、体調が悪いことでもあり、私は降りてしまった。ところが一番読者に分かり易い「かれーらいす」で始めた私のしりとりが、他の2人には上手く終了しなかったようで、なにやら「えもんかけ」が出てきたりして、結局編集に色々いじられ、前号に続いて、私の文章ではなくなってしまった。

 という事件が起こり得るほど、ことばの糸が絡み合っていて面白い。子どもは案外、単純に絵を見分ける能力を持っているから、素直に最後まで行きつくのだろうが、大人は集中しないと、途中で行き詰まる。一つのページに同じ文字で始まることばが幾つもあって、たとえば「ばんぺい」などということばに、英国の衛兵交代の「ばんぺい」の絵が描いてあるので、大人はつい、番兵を見落としてしまう。
 でも、途中で詰まったら、ページを戻って探し直すと、かならず「ん」のことばに行きついて、「アハ効果」で、すーっと気持ちが良くなること請け合い。家族でも、恋人同士でも、勿論一人でも楽しい。
こういう本を良い本というのだろう。